ヴァイオリン版はこの楽器の低音部に音域が集中してしまっており、クラリネット、ヴィオラほどの演奏効果をあげることができないため、演奏機会はあまりない。そもそもクラリネット用の楽曲なので、クラリネットの音域に近いヴィオラでは問題なかったが、ヴァイオリンではそれがうまくかみ合わなかったのであろう。この問題の解決策として、音を全部そのまま1オクターヴあげればいいという考えもあると思うが、きっとそれでは逆にヴァイオリンでは高すぎてしまうのであろう。となると、ほかに考えられるのは、調そのものを変え、ヴァイオリンでも弾けるようにすることであろうか。しかし、この作業は大変なものとなるであろう。譜面も一から書き直す必要があるので、相当な時間がかかってしまうと予想される。この手間が面倒であったのであろうか、ブラームスは行っていないようである。